MALICE MIZER / Moi dix MoisのギタリストManaにより1999年に設立されたブランドMoi-même-Moitiéの20周年を記念して開設するオンラインサロンのスペシャルコンテンツ『Mana様×著名ゲストによる緊急対談』。今回は、MALICE MIZER初期から衣装を手がけてきた立役者、コスチュームデザイナーの大場 由香里さんが登場! MALICE MIZER以降、氷川きよしさんや高見沢俊彦さんなどそうそうたるアーティストの衣装制作を担当するなどキャリアを重ねた彼女。今回はMALICE MIZERの世界観をメンバーと共に作り上た時代の貴重な秘話から今後まで、Mana様と語り倒します。
(文・構成/本田水奈子)

 
――まずは、お二人の出会いの経緯からお聞きします。
 
大場 : 多分……1994年かな。12月27日の鹿鳴館のライヴ衣装を作った資料があるから、その前ですよね。
Mana : 確か「衣装を作れる人がいる」っていう資料を誰かから見せてもらった記憶がある。
大場 : 私の作品集みたいな資料だよね。
Mana : そう。見た瞬間「すごいな!」と思って、その当時まだ自分たちで手作りで衣装を作ってライヴをしていたので、もっとより高度な衣装を作りたいなっていう構想があった場面でちょうど大場さんの作品集を目にする機会があって、「これは!」と思ってこっちからコンタクトをとったんだと思う。
大場 : そうでしたね~。
Mana : 実際に作ってもらったのは1994年の鹿鳴館が最初ではなくて、一番最初にやってもらったのは多分私が自分で着てた黒っぽいミニスカの服に白いレースをつけてもらった時だと思うけど。
大場 : ああ! 付けた付けた! 白のジレイを作って。黒い大きなハットかぶってるときじゃない?
Mana : そうかも。とにかく、最初はまずカスタムしてもらったような気がする、フルオーダーではなく。
大場 : そうでしたね。思い出しました。
Mana : その後、だんだん自分の作りたい衣装のイメージが膨らんできて、大場さんだったらこれを具現化できるんじゃないかと思って話しを進めていって、1994年の貴婦人風の衣装にたどり着いたんだと思う。
大場 : そうね。
Mana : だから今日も、当時のイメージを思い出して貴婦人ぽい感じの服を着てみました。
大場 : あ、そうだったの!(笑)
Mana : ハットに、大場さんの好きなドールを合わせて。どう、この組み合わせ。
大場 : ありがとうございます! 斬新な組み合わせだね。
Mana : 最近のモードコレクションなんかも、服の全面に顔がある、みたいなのもあるしね。
大場 : そうだね。いいと思います。
Mana : で、鹿鳴館の衣装の次とかに日本青年館で作った衣装はレースで顔が隠れてたんだよ。
大場 : 日本青年館で作った衣装……?
Mana : 青と白の。青の別珍かなんかに白いレースがついてて。
大場 : ああ! 分かった! 襟が立ってるのでしょ。ここにお花があって。
Mana : そうそう。で、顔の前にヴェールがかかってるの。
大場 : あのヴェールが白いバージョンとブルーのバージョンがあってね。
Mana : あれは斬新だったね。それまでのヴィジュアル系にはないファッションだったと思うから。
大場 : 確かにね。うん。
 
――衣装のイメージはMana様から?
 
大場 : だいたいManaさんからキーワードが出てきて、そこから発展させるって感じよね? いつも。
Mana : うん。当時は貴婦人系にハマってて貴婦人寄りなものが多かったかも。(微笑) 
大場 : 大まかなテーマをもらってたよね。「貴婦人」とか「ヴェール」とか。大体そんな始まりで、そこからどんどん発展していってしまうっていうね(笑) 毎回「え!」っていう以外なテーマがやってくるので結構しんどくてね(笑)。同じことを全然してくれないの。
Mana : 発想が毎回バラバラだもんね。
大場 : 曲によって衣装のテーマも全然ちがうので、その都度新しいことを試行錯誤する感じよね。それが楽しかったりもするんですよ、結局。新しいことに挑戦できるっていうのは、やっぱり面白いしね。自分ではやらないようなテーマでも、提示されれば新たな発見も出てきてすごく勉強になった。
Mana : どれが一番複雑だった?
大場 : どれが、とは言い難いけど……
Mana : あれじゃない? 『au revoir』のスカートの裾の反り返し。
大場 : あ~、ワイヤーが入ってる衣装ね。
Mana : 結構苦労しなかったっけ?
大場 : あれってManaさんも着るのイヤだったんじゃない?座れなくって不自由だったでしょ?
Mana : そうかも。とにかく、あれを作る時は苦労していたような印象がある。
大場 : 苦労しました、とっても! 花びらひとつひとつにワイヤーが入っていて、Manaさんが動いても、ちゃんとその形に固定されていて、回転しても花びらが壊れないっていう形状記憶みたいな構造だったのよね。
Mana : あれはコスプレイヤーも多分、手こずった衣装だと思うよ。きれいに裾を反らすのは大変だったんじゃないかと。
大場 : そうね。いや、でもどれも思い出が深すぎるから、一番大変だったのはどれかって聞かれても一つって選べない感じ。うん。

 
――大場さんは、そもそもお洋服作りに目覚めたきっかけっていつだったんですか?
 
大場 : 目覚めたきっかけは……そうですね、もともと絵を描くことが好きだったんです。そのうち、自分が描いた絵を形にしたいなと思うようになって、気がついたらなんとなく作り始めてたっていう感じですね。
Mana : それ幾つくらいの話?
大場 : 小学生の頃くらいから。
Mana : 意外と大場さんの過去のことってまったく知らないかもしれない。
大場 : そうなのそうなの(笑) 多分、私が最初に作品集を見せて、MALICE MIZERの衣装を作ることになってからバタバターっと仕事が続いてしまって、ゆっくり幼少期の頃の話とかをする機会がなかったのよね。だから私のプライベートとか私の人となりは、Manaさんは全然知らないと思う。
Mana : 基本、知らない。大場さんの生い立ちとか、どういう流れで今の仕事をするようになったのかとか、まったく知らない。出身は名古屋だっけ?
大場 : 岐阜(笑)
Mana : 岐阜か! 
大場 : 出会ってから忙しすぎて、衣装の打ち合わせをしてフィッティングをして本番入ってとか、撮影入ってとかどんどん進んでいくから話す時間がないのよね。
Mana : ないね。「仕事終わったら飲みに行こうよ」とかも基本ないからね。
大場 : ないないない(笑)
Mana : とにかく制作に追われてるって感じだったから。
大場 : いつも切羽詰まってるから、二人して落ち武者みたいになっててだから、私も今回Manaさんとちゃんと話すの初めてだわ!と思って。ふと「私、今までManaさんと何話してきたんだろう」って思っちゃって。これだけ一緒に仕事してきたのに、意外と何も話していないかもって。
Mana : だから今日はそのへんのことを知ろうという。好きな音楽はなんなんだろうとか。
大場 : 昔ってこと?
Mana : ティーンの頃に何を聴いてたのか、とか。
大場 : あははは! ティーンの頃ね~。私ね、小学生の頃は沢田研二さんのファンだったの。
Mana : ほぉほぉほぉ。
大場 : Manaさんも好きでした?
Mana : いや、普通かな。好きとか嫌いとか特に思ったこともなく。まぁ、派手な人だなっていう印象。
大場 : そうなのね。私は小学校の頃に沢田研二さんを見たから、多分すごく衝撃を受けて音楽の衣装とか舞台の衣装とかを作りたくなったんじゃないかなって思ってるの。目覚めとしては。
Mana : なるほどなるほど。中高校生あたりは?
大場 : アイドルとかも好きだったし。聖子ちゃんとか。アイドルの衣装も作りたいとか思ってた。その後XとかLUNA SEAとかバンドの方を好きになってバンドの衣装も作りたいなって。
Mana : 洋楽は?
大場 : 一番最初はBon Joviから始まって。
Mana : おっ!(笑)初めて聞いた!
大場 : (笑)なんでBon Joviだけ笑うのー!
Mana : それでそれで? Bon Jovi入ってどうなったの?
大場 : なんかちょっとバカにしてるでしょ(笑)
Mana : いや、だってBon Joviからどこへ行ったのかなーって。
大場 : そこからMötley CrüeとかRattとかVan Halenとか、そっち系に行ったの。
Mana : へぇ~、じゃあ結構、私と近いかもね。
大場 : あ、ほんと?
Mana : Bon Joviはあんまり聴いてないんだけど。
大場 : あ、そう。
Mana : LAメタルはガッツリ聴いてた世代だから。
大場 : あと日本でいうと、DEAD ENDとかREACTIONとかGASTUNKとかも好きだったり。
Mana : やっぱ近いかもしれない。
大場 : ほんと!?
Mana : うん! だってDEAD ENDのファーストなんて、当時地元のレコード屋さんに予約しに行って初回盤買ったし。
大場 : へぇ~。
Mana : DEAD ENDの初期のライヴも広島まで見に行ってたからね。REACTIONも見に行ったし。
大場 : 意外と近い趣味だったのね。漫画は? 幼少の頃なにが好きだった?
Mana : つのだじろうとか。
大場 : あ~、そっち系だ~。
Mana : 『恐怖新聞』がバイブルだったから。
大場 : 私は『キャンディキャンディ』とかかな。
Mana : MALICE MIZERの女形なんだから多分幼い頃少女漫画見て育ったんでしょって、結構思われるんだけど。
大場 : 私もそう思ってました。
Mana : だけど、バイブルは『包丁人味平』と『恐怖新聞』。
大場 : ぜんぜん乙女じゃない!
Mana : ハイ。あんまり少女漫画を読んできてないんだよ。薔薇とかいっぱいつけてきてるワリには。
大場 : (笑)ホラーと料理っていうのも、すごい。
Mana : だから自分でも不思議なんだよね。普通、幼少の頃に出会ったものの流れでこういうヴィジュアルになったっていうのが当たり前だと思うけど。途中モヒカンだったりするし。経緯が全然おかしいんだよね。どうして薔薇にまみれた女形になるのか突然変異的な。
大場 : たしかに。


お互いを探りあいつつ、トークは後半へ。
後半のトピックは…
■大場 由香里がMoi-même-Moitié
でやるなら○○○○
■ステージでの大ハプニング!
■MALICE MIZER30周年!?
■ママレード・ボーイと鞭の誘惑
この続きはサロン会員専用ページにて公開!
https://lounge.dmm.com/detail/1686/
 
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